
“富士山を救え”
トイレ改善に向けてのボランティアの挑戦
富士山クラブ環境バイオトイレサポーター
ふじのくに まちづくり支援隊 理事長
小浜 修一郎
日本の心である富士山、霊峰富士といわれる富士山、今富士山は傷ついている。汚れている。遠くからの富士山は、綺麗である。近くはどうか? 四輪駆動車、バイクによる自然破壊、ごみ捨て場、トイレの垂れ流しである。不心得者のドライバー達による立ち入り禁止区域にも関わらず進入し高山植物の生態を壊している。また、毎年首都圏からのごみの不法投棄で新聞紙上を賑わしている。我々ボランティア団体も富士山再生事業の一環としての植林と毎年クリーンツアーを企画してごみ拾いを行い、富士山への水と緑の育水と自然環境の保護に想いを募らせている。もう一つは山小屋トイレの垂れ流しである。富士山には、残雪川というトイレットペイパーの川がある。これは年間30万人が富士登山し、し尿処理で水に溶けない紙を使い、便所が一杯になれば堰を開けて垂れ流す、このときにでる紙の白い川が残雪川である。遠くからは残雪に見える。このように汚れつつある富士山の汚物垂れ流しを環境NPO法人富士山クラブでは、東陽綱業製の循環自立式のバイアニクストイレすなわち環境バイオトイレ2基をシーズン中平成12年7月から9月中旬迄の期間、実験的に富士山5合目に据え、成果を確認しようという試みが始まった。静岡県側の御殿場須走り口の東富士山荘脇と山梨県側の富士吉田口の佐藤小屋に2箇所設置した。
このときのトイレ設置に山梨県と静岡県のボランティア市民団体(グラウンドワーク三島、ふじのくにまちづくり支援隊、三島ゆうすい会、遊水匠の会等)約40人のボランティアの皆さんが富士山に集まり、富士山への想いをぶっつけて心をこめて環境バイオトイレを市民の手で完成した。これは、企業とNPO、行政、市民がそれぞれ得意技を発揮したパートナーシップによる新しい流れの環境改善運動の新社会システムである。
企業ではトイレを開発した東陽綱業は、我々の活動の想いをよく理解されて無償で貸与を受けることになった。また、設置には、建設関係からなるボランティア団体、まちづくり支援隊(住友建設)の協力を得て段取り、測量、丁張り、造成、土台の製作等担当した。
行政は、仮設トイレの設置許可申請に10数箇所の諸官庁、諸機関があり、大変好意的、協力的に書類等の指導をしていただき、早期の許可証発行がなされた。しかし、その労力から、もう少し簡略化と規制緩和が必須と思われ、来年の参考となった。
設置された環境バイオトイレは、約2ヶ月余、海抜2000mにもかかわらず悪条件のなか大したトラブルも無く、登山者約1万数千人に利用され、無臭水洗トイレとして登山者に大好評という評価を得た。特に東富士山荘の米山さんは、管理をお手伝いして下さり、くさい臭いも無く清潔で抜群とほめ。山梨県側の佐藤小屋の佐藤夫婦は、汲みとる必要も無く使いやすく利用者が数珠繋ぎになるなどの大好評と評価は上々であった。
このトイレの秘密は、便槽で水と混ぜて液状にし、ばっき槽と微生物が混入された杉チップ約4?に浸透させバクテリアによって炭酸ガスと水に分解される。この水を水洗用に再度使い、放流することなく循環型完結トイレである。
このトイレの開発者、東陽綱業の荒井社長は、富士山に設置したお陰で建設会社、リース会社と海外のロシア、中近東からも引き合いが殺到したという。

建設会社に改良型3台と富士山設置型1台を日本道路公団の天竜川橋と高橋川橋の工事現場にNPO法人富士山クラブ仲介により導入され、富士山に設置された評価の検証と通年設置に向けた問題点解決の富士山環境バイオトイレ調査研究事業の一環として、このクラブ主導でトイレ開発企業とふじのくにまちづくり支援隊のボランティア団体が第2東名建設工事建設企業体2社と共同で技術改善実証実験を行う予定である。
来年は、この環境バイオトイレを市民による5合目の継続的設置の展開と山頂に実験的に設置を計画しており、富士山環境改善ボランティア団体も垂れ流しの無い水洗トイレの想いがますます募り、続々と専門企業、協力企業をも含め支援の申し出がある。
今回、市民ボランティア団体の手で設置できた自信と登山者の絶賛たる評価は、富士山の垂れ流しトイレの地下水汚染問題のほか、水に溶けないトイレットペーパーの山肌に残った残雪川となる景観を損ねる問題等の解決にNPO法人 富士山クラブの特性を最大限に生かし挑戦をし続けることが安心して富士山の恵み(命を育む水)と世界的規模で考えた景観を残す自然環境を護る最短距離となることである。
プロフィール
小浜 修一郎(富士山クラブ環境バイオトイレサポーター、ふじのくにまちづくり支援隊)
子供の頃は矢作川の清流で泳ぎ育ち、64年住友建設株式会社に入社して、トンネル、橋梁、ダム等で水との闘いに明け暮れた。現在は、天の恵みである富士山の地下水を護るため、三島ゆうすい会などで水の大切さを啓蒙し、水の都三島にふさわしい水辺環境を創出すべく、市民、行政、企業の三位一体のパートナーシップにより環境改善、保護活動に取り組んでいる。富士山クラブにも所属し、環境バイオトイレの設置にボランティア団体の調整と技術支援を担当している。現在 NPO法人ふじのくにまちづくり支援隊 理事長 静岡県三島市在住 勤務先 住友建設株式会社 静岡支店